2年前くらいに、「SNSに子どもの写真をアップするのは危険すぎる」という趣旨の記事がバズっていました。
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なぜSNSに我が子の写真をアップしたら危険なのか?写真データの怖さ(2014年3月)
その記事の趣旨は、Facebookなどで友達限定の公開だからといって、友達がシェアして、その友達がシェアしてとなったり、友達がダウンロードしたりキャプチャをとって拡散した場合、いくら自分が削除したとしても、ネット上にコピーされたデータが残り、取り返しがつかない。
子どもや幼児を愛好する趣味の人に意図しない形で利用される可能性がある。
悪意をもった人に、顔だけコラージュされて拡散される可能性がある。
スマホや携帯電話やデジカメで撮った写真のデジタルデータには、位置情報のデータが付いていて、写真を撮った住所や個人が特定されて誘拐される危険性がある。
危険だから絶対にやめるべき、というものです。
そのときは、「ふーん」くらいでしたが、私も脱サラし、個人として移住や暮らしについてブログ等で発信したいと考えるようになった今、きちんと考察しておきたいと思いました。
たしかに、おそろしい。
しかし、よく考えたら、子どもの画像や動画が「悪意をもって利用される」ということに関していえば、テレビ出演も写真付き年賀状も変わらないのでは?という気もします。
テレビ番組の違法アップロードは横行していますし、テレビなんて、公開先が限定どころか、ネットに比べたらケタ違いの人が見ているはず。
そのテレビ画面をキャプチャして悪意をもってコラージュすることなどたやすいです。
にもかかわらず、
「うちの娘が『おかあさんといっしょ!』にでま〜す」
という場合は、
「わーーうらやましい! おめでとう!」
という反応が一般的なのに対して
「わが子の顔をかくさずネットにさらしているなんて、非常識、信じられない」
という感覚が広く存在するのは、なぜなんだろう?
『おかあさんといっしょ!』に登場している子どもの顔にモザイクなんてかけないし、そんな番組、こわいです。「パジャマでおじゃま」のコーナーなんて、子どもが着替えをするシーン。悪用しようと思えばできてしまうのかもしれない。(実際、女児の「パジャマでおじゃま」コーナーだけを違法アップロードしたと思われるYouTubeチャンネルも存在しました。)
この違いは、おそらく、「NHKのようなテレビ番組は悪意をもった人が見ていないはず」という性善説。テレビというマスメディアへの絶大な信頼感。
一方、「ネットは、あやしい人が見ている、どんな人が見ているかわからない」という不信感。
日本でのポピュラーなお正月の慣習である写真付き年賀状などは、住所に実名、年齢入りのハガキに家族状況のコメントまでついて、郵便配達されるわけで、郵便配達に関わった人が悪意をもってコラージュしたり個人情報を拡散したり、ストーキングしたりする可能性が絶対ないって言い切れるのでしょうか?
誤配達という可能性もあり、誤配達された人が悪用という可能性は?
とはいえ、日本の郵便というインフラには絶大な信頼感があります。
物理的なセキュリティーにかんしては考えうる抜け道がたくさんあり、何か起こってからでは遅いです。セキュリティーをつきつめたら、盗撮の可能性もあるから、リアルに街中でも顔出ししたら危ない?なんてことにもなりかねない。
けれど、そんな可能性が低いリスクを恐れて生活するわけにはいかないですよね。
SNSへの子どもの写真アップについても、それと同じで、メリットとリスクと検討したうえでどういう選択をするかそれぞれの感覚で決めるべきことなんだと思います。
というわけで、私は、もし、子どもが「YouTuberになりたい!」と言い出したら、かなえてあげちゃう気持ちでいます。「プレゼン能力がつきそう」というメリットを優先。
将来、黒歴史になるかもしれないデメリットは、「人を不快にしたりバッシングを受ける内容のものはアップしない」という線を固く守り、回避したい。
誘拐されるかもしれないデメリットには、子どもだけで外出させないようにセキュリティーを強化する。
そして、実際のところ、移住や暮らしに興味がある人や、私がSNS上でつながっているお友達に、そんなに悪い人はいないんじゃないかと思っています。
子どもも、身内目線ではかわいいけれど、芸能界からスカウトされるレベルの容姿ではないし、実際のところ、YouTuberとして人気者になるのは、たやすいことではありません。
子どもの写真についての取り扱い方針は、人それぞれ。親の仕事や人間関係、家庭の状況にもよりますし、さまざまな考え方があります。
どれが正しい、正しくない、優れているとかではなくて、それぞれの選択が正解なのかなと。だから、ネットに写真をあげることに関して、様々な考え方をもった人がいることを配慮して行動することが大事だと思います。
そして、最近、こんな記事も記憶に新しいです。
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幼少期の恥ずかしい写真をSNSにアップされたとして娘が親を提訴!(2016年9月)
子どもの気持ちへの配慮も大切に!